給与明細を見て、「税金や社会保険料がこんなに引かれるのか」と感じたことはないでしょうか。
会社員のお金は、給与だけを見ていても全体像がつかみにくいものです。副業を始めれば税金が変わり、iDeCoを利用すれば所得控除が増えます。結婚、出産、退職といった出来事があれば、手取りや給付金も変わります。
こうした変化を考えるときに便利なのが、条件を入力して金額の目安を確認できるシミュレーターです。ただし、目的に合わないツールを使っても、知りたい答えにはたどり着けません。
ここでは、会社員が直面しやすい場面ごとに、どのシミュレーターを使えばよいかを整理します。
目次
副業を始める前は「副業手取りシミュレーター」
副業の売上がそのまま手元に残るわけではありません。経費を差し引いた所得に応じて、所得税や住民税が増える可能性があります。
副業手取りシミュレーターでは、本業の年収と副業の収入・経費を入力し、副業によって税負担がどの程度増えるかを確認できます。
「月5万円の副業を始めたら、実際にはいくら残るのか」を知りたいときに向いています。
老後資金を考えるなら「iDeCo節税シミュレーター」
iDeCoは老後資金を積み立てながら、掛金が所得控除になる制度です。一方で、原則として一定の年齢まで引き出せないため、節税額だけで判断するのはおすすめできません。
まずは掛金を月5,000円、1万円、2万円と変え、現在の家計に無理のない水準を比べてみるとよいでしょう。
年末の税金が気になるなら「年末調整チェックツール」
年末調整では、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、iDeCo、住宅ローン控除など、複数の項目を確認します。
毎年同じように見えても、結婚、出産、転職、家族の収入変化などがあった年は注意が必要です。必要書類の確認にも使えるため、会社への提出期限より少し早めに試しておくと安心です。
ふるさと納税は「寄付前」と「寄付後」でツールを使い分ける
ふるさと納税には、二つの確認があります。
寄付前には、控除上限額の目安を調べます。寄付後には、所得税や住民税から正しく控除されたかを確認します。
上限額を調べるシミュレーターと、控除結果を確認するツールは目的が異なります。前年と年収や家族構成が変わった場合は、前年の寄付額をそのまま基準にせず、あらためて計算しておきましょう。
出産を予定しているなら「育休・産休シミュレーター」
産休・育休中は、給与、出産手当金、育児休業給付金、社会保険料、住民税の動きが月によって変わります。
総額だけを見るより、「いつ入金され、いつ支払いが発生するか」を月別に見ることが大切です。出産前に家計の不足月が分かれば、必要な貯蓄額も考えやすくなります。
扶養内で働くなら「年収の壁シミュレーター」
年収の壁は、税金の扶養と社会保険の扶養が混同されやすいテーマです。勤務先の規模や労働時間などによっても結果が変わります。
「一定額を超えたら必ず損をする」と単純に考えず、手取りがどのように変化するかを確認してから働き方を決めることが重要です。
医療費が多かった年は「医療費控除の明細作成ツール」
医療費控除では、領収書の枚数が多いほど集計に手間がかかります。家族分をまとめて申告する場合は、通院に使った公共交通機関の費用なども整理が必要です。
明細作成ツールを利用すれば、申告前の集計作業を減らせます。ただし、控除の対象になるか迷う費用は、国税庁の案内などで個別に確認してください。
退職を考え始めたら「失業手当シミュレーター」
失業手当は、退職理由、雇用保険の加入期間、退職前の賃金、年齢などで受給額や日数が変わります。
大切なのは、総額だけでなく、最初の入金までの期間を考えることです。自己都合退職では待期や給付制限がある場合もあるため、退職後の生活費には余裕を持たせておきましょう。
老後の生活費を考えるなら「年金手取りシミュレーター」
ねんきん定期便などに記載された年金額は、実際の振込額とは限りません。税金や保険料が差し引かれる可能性があるからです。
老後の家計を作るときは、額面ではなく手取りを基準にします。働きながら年金を受け取る予定がある人は、給与と年金を合わせて確認すると、退職時期を考える材料になります。
一度に全部使う必要はない
シミュレーターは、将来を正確に予言するものではありません。現在の条件を整理し、次に確認すべきことを見つけるための道具です。
まずは、いま最も気になっているテーマを一つ選んでください。結果を見てから、関係する別のツールを使う方が、お金の流れを理解しやすくなります。
